紙工芸kotohana* saoriのクイリングのあれこれを、京都の片隅からお届けします。
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吉田健一『私の食物誌』
 kotohana* akiraです。京都市内でクイリング作品の委託販売、出張レッスンなどの活動をしています。

 今回は吉田健一『私の食物誌』のご紹介です(^-^)/

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 年末年始の休みに読破した1冊です。著者は英文学の翻訳家、評論家、小説家ですが、この本は著者が日本全国の「旨い物」をつらつら書き綴った随筆集です。

 書かれた時代は昭和46年。1年間にわたり読売新聞紙上に連載された随筆をまとめたものです。そのためでしょうか、食べ物の話に当時の世相や社会問題も絡めて語られており、非常に面白い読み物でした。見開き1頁で1つの食べ物について書かれているので、ちょこちょこ細切れでも読みやすかったです。

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 少し話が横道にそれますが、先日ご紹介しました江國香織『パンプルムース!』。こちらのあとがきで江國さんは絵本などにでてきた「ぶどう酒」と、現実のワインの不一致について書かれています。

(以下引用)

 子供のころ、絵本にでてきた「ぶどう酒」というものに、心惹かれたことを憶えています。なにしろそれは、ごちそうのならぶ場面にきまってでてきましたし、言葉の響きが得も言われずふっくらとして、うっとりするほどいいものに思えたのです。その後私は大人になって、ワインをのむようにもなりました。でもそれは、子供のころにうっとりと思い描いた「ぶどう酒」とは、どうしても一致しません。永遠にしないだろうと思います。私はその不一致が嬉しい。

(以上、江國香織『パンプルムース!』文庫版あとがき70頁引用)

 吉田氏の食物誌に書かれている食べ物は、例え今現在でも各地で作られていて食べられるとしても、昭和40年代当時の味とは(おそらく)遠く隔たってしまっているのではないかと思います。本文中でもいくつか「もう食べられないのだろうか」と回想を交えて語られていた食べ物もありました。

 ですから、この本を読んでいくらわたしが味の想像を膨らませてみても、それは永遠に食べられない食べ物、江國さんが言う絵本に出てきたぶどう酒と現実のワインとの不一致、それと同じなんだろうな、と思わずにはいられませんでした。

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 それが悲しいことなのか、つまらないことなのか、どうなのかは、人それぞれ感じ方が違うと思います。わたしは「永遠に食べられない食べ物」を、この本を読む度に「頭で味わえること」が愉しいと感じます。本を読む元気があれば、いつでも味わえるのですから(^^*)

私の食物誌 (中公文庫)私の食物誌 (中公文庫)
(2007/07/25)
吉田 健一

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 レティシア書房さんにはわたしが持っている版と同じ、ケース入りの『私の食物誌』(古書、1000円)が置いてあります。(2014年1月15日現在)

 お買い求めの際はぜひご利用ください*

【古書・ミニプレス&ギャラリー レティシア書房】
〒604-0827
京都市中京区高倉通り二条下がる瓦町551
12:00~20:00(月曜定休)
TEL/FAX 075-212-1772
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江國香織『パンプルムース!』
 kotohana* akiraです。京都市内でクイリング作品の委託販売、出張レッスンなどの活動をしています。

 今回は本のご紹介です(^-^)/

 江國香織さんの『パンプルムース!』。全部ひらがなで書かれた短い詩集で、いわさきちひろさんの絵が添えてあります。短い作品ですが、いわさきちひろさんの絵の雰囲気も合間って情感はたっぷり。

 また江國さんの軽やかなといいますか、地に足着かない感じの言葉を辿っているうちに、自分もちょっとだけ地から足を離せたような錯覚がわいてきて、「すまし顔で何でもお見通しなつもりの少女」の気分になれます(^^*)

 隙間の時間にさくっと読めるので、ふとできた空き時間に読むことも少なくない1冊です。

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 この中の1作、本のタイトルにもなっている「パンプルムース!」がとても好きです。(以下引用)

「パンプルムース!」

グレープフルーツのことを
フランスごでは
パンプルムースっていうのよ
きのうまでのわたしはしらなかったけど
きょうのわたしはもうそれをしってる

だからね
いつかフランスにいったら
レストランのテーブルにつき
すましてこうちゅうもんするの
パンプルムース!

(以上『パンプルムース!』18、19頁引用)
※添えたミニフレームはオレンジです。今度はグレープフルーツやライムも作りますね♪

 「きのうまでのわたしはしらなかったけど/きょうのわたしはもうそれをしってる」、なんて素敵な一文でしょう。

 この作品を知ってから、昨日知らなかったことを知った日や、出来なかったことが今日できるようになった日は「今日はパンプルムース!だな」と思うようになりました。

 今年はできたら毎日、小さなパンプルムース!を体験できたらいいな、と思っています。歩いたことのない道を歩いてみるとか、飲んだことない缶コーヒー買ってみるとか、普段見ないTV番組見てみるとか。

 それで、たまに大きなパンプルムース!が体験できたら、いい1年が作れるんじゃないかなぁと、早くも皮算用しております(笑)

 ちなみに今日の「パンプルムース!」は、知らない路地に入って、知らなかったカフェを見つけたことです。よさげな雰囲気だったので、今度行ってみます(^-^)


パンプルムース! (講談社プラスアルファ文庫)パンプルムース! (講談社プラスアルファ文庫)
(2008/11/20)
江國 香織 (文)

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 何度読んでも飽きない本です*


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いしいしんじ『毎日のパン』
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 今年からクイリング活動の合間合間に、読んだ本のご紹介もしてゆこうと思います(^-^)/

 2014年の「読み始め」は、いしいしんじ『毎日のパン』でした。

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 こちらは京都の老舗パン屋さん、進々堂の創業100周年を記念して刊行された、いしいしんじ氏の短編冊子です。進々堂店舗にて無料配布されています。

 帰省する際はご飯時をまたぐJR特急電車に乗ることが多く、京都駅地下街ポルタにある進々堂でパンを買い、特急の中で食べています。この年末年始の帰省時も進々堂でパンを買い、その時にいただいてきました。

 実は、いしいしんじ氏の作品を読むのはこれが初めて。お好きな方には申し訳ないのですが、どんな作風の作家さんなのか、どんなタイトルの作品を発表されてきていたのか全く知らなくて、お名前だけ知っている方でした。

 初めてのいしいしんじ作品、読んだ感じはふわっと軽い印象で、それこそ、毎日食べられる食パンのような作風の方なのかしら、と思いました。

 物語は2013年が100周年だったからでしょうか、2013年の京都の大きな出来事を絡めて物語が構成されているのですが、京都だけでなく他の地域でも辛い思いされた方も多い出来事だと思うので、正直、手放しでどなたにも「面白いよ!」とはおすすめできません。

 でも先にも書きましたように、ふわっと軽い印象を紡げる作家さんだからこそ、辛い出来事の後にうつむいた顔とこころを前へ向かせてくれるような、そんな気持ちになれる物語が紡げたのかしら、とも思いました。

 せっかくですので、読んでみたい方で可能な方はこの手の平サイズ(手の平サイズなのです)の冊子を手に入れて読んでいただきたいです(^^*)

 ちなみに。

 2013年「読み納め」は竹谷内桜子『影追いの街』でした。


影追いの街影追いの街
(2007/06/06)
竹谷内 桜子

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 こちらの本は、また年内に読み返すことが何度もあると思いますので、またその時に。

 今は、お気に入りの1冊、とだけご紹介しておきます*


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